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>>>検体測定室と「日本ヘルスケア協会」<<<
 ヘルスケア産業の育成と健康寿命の延伸を目指し、昨年11月に発足した一般財団法人「日本ヘルスケア協会」(JAHI)。その全貌が6月30日の活動方針発表会で明らかになった。スイッチOTC薬の促進や薬剤師の資質向上など、テーマごとに研究会・部会を設置し、産学連携で研究・提言やロビー活動を行う。中でも、主要なテーマの一つが「検体測定室」の普及だ。運用ルールを定めた厚生労働省のガイドラインの見直しも視野に入れ、普及を目指した研究・提言に取り組む。
 検体測定室については、JAHIの設立を呼びかけた日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)も以前から普及の必要性を主張してきた。JACDSによれば、検体測定室は生活習慣病の早期発見・受診などを通じた医療費の削減などの観点から必要だが、現行のガイドラインに問題があるため、普及が進んでいないという。
 ガイドラインの策定を巡っては、日本医師会などとの調整の末にルールが厳格化された背景があるため、JAHIの事務総長も務めるJACDSの宗像守事務総長は、7月1日の会見でJAHIを通じて日医の理解を得るためのロジック作りを進める姿勢を提示。「検体測定室は患者を早期発見して軽度のうちに受診させるため、本来は(医師から普及を)お願いされる話だ」と述べた。
 JAHIの取り組みは実を結ぶだろうか。厚労省医政局経済課の大西友弘課長は活動方針発表会で講演し、「厚労省の医療政策の大きな柱は国民皆保険制度だが、これには『予防』の考え方が入っていない。JAHIにこの弱点を補って頂けるとありがたい」と期待感を示した。検体測定室などの自己検診は「予防」の最たるものだろう。活動を本格化させたJAHIに注目が集まっている。
(2016年7月15日掲載)