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>>>中間年改定と自民厚労議員<<<
 「他の厚生労働関係議員は一体何をやっているのか」――。昨年12月22日に行われた自由民主党の社会保障制度調査会・医療委員会では、全品目の約7割が改定対象となり、4300億円の薬剤費削減という規模で決着した2021年度の「中間年薬価改定」が議論の俎上に載せられ、一部議員からはこのような呟きが漏れた。
 自民党・医療委員会では製薬産業界や医療関係団体と足並みを揃え、「平均乖離率よりも著しく大きい品目」を改定対象とすべきと主張してきたが、結果は「乖離率5%以上」を対象とする想定以上の規模での断行を余儀なくされた。同日の会合では各議員から「関係者に対してどのように説明すればよいのか」「日本の製薬産業界の研究開発力は低下してしまう」といった懸念が相次ぐ。
 自民党内では当初、自民党の厚生労働関係議員と製薬業界関係者で構成される「製薬産業政策に関する勉強会」(衛藤晟一会長)が、「中間年改定」の慎重な検討を求める提言を取りまとめ、党内調整を経て政府に働きかける方針だったものの、終盤には目立った動きは見られず、田村憲久厚生労働大臣への提言の提出も直前で取りやめた。自民党の意見として田村厚労相に提言を提出したのは医療委員会だけだった。冒頭の一部議員の呟きはこうした背景に基づく。安倍晋三前首相から菅義偉首相に交代し、政権内でのパワーバランスの変化が囁かれるなかで、関係業界もロビー活動の見直しを模索している。
(2021年1月15日掲載)