薬事ニュース社
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>>>政治決着で堅持した改定比率<<<
 14年度診療報酬改定の「改定率」が決まった。診療報酬本体は消費税増税対応分を含む「名目」で0.1%のプラス、増税対応分を差し引いた「実質」で1.26%のマイナスとなるなど、どちらとも受け取れるようなかたちで決着した。しかし、非課税である保険診療への診療報酬上の補填が、すでに既定事項として決められていた背景を踏まえると、今回の改定はやはり「マイナス」だったとみるべきだろう。医療財源を巡っては引き続き厳しい状況が続く。
 その一方で、医療関係者の間で注目を集めていた医科と調剤の改定比率については「1:0.3」が維持された。突出した伸び率を示す調剤医療費に対して、日本医師会を中心に医療関係団体が激しく批判。中央社会保険医療協議会など公の場でも批判は展開され、ある関係者は「調剤の比率を下げ、そこで捻出した財源を医科に充当しようという圧力を感じた」と語る。当初は調剤の比率が0.2まで下げられるとの憶測も飛び交った。最終的には政治決着で日薬の要望通り、1:0.3が何とか堅持されたかたちで幕を閉じた。安堵の表情を浮かべる日薬関係者も多いのではないだろうか。
 だが、調剤報酬自体への逆風はこれで止んだわけではない。中医協で日医委員は調剤報酬の加算のあり方にまで踏み込み、次々回までに抜本的な見直しを要求。支払側も当然のようにこれに応じている。次期改定に向けた調剤報酬関連の項目は概ね出揃っているが、日薬の児玉孝会長は本紙に対し、「次期改定以降も議論の俎上に載せられるだろう」と厳しく観測している。
(2014年1月10日掲載)