薬事ニュース社
オピニオン

>>>土井さん、しっかり頼みますよ<<<
 「今後、『日本先行』型の新薬が出てくることは困難だろう。残念だが行政の責任と重く感じている」。
 先月末に開催された国際商業出版主催の薬業経営セミナーでの医薬品機構・土井脩氏の言葉だ。土井氏の話の趣旨はこう。グローバル新薬の開発戦略としては、①日本先行②米国先行③日米同時の3パターンがあるが、日本で治験を行うと、独自のデータを要求されるという指摘が国内企業からも外資系企業からも出されている。今後も「日本先行」は難しいだろう、云々。
 これまでも製薬企業からは、たびたび「審査期間短縮」や「治験環境整備」の必要性が指摘されていた。「審査期間には製薬企業の持ち時間も含まれている。企業側の努力も必要」などとした厚労省の言い分ももっともではあるが、新薬というメーカーにとっての“命綱”に対する行政との意識の差は、やはり埋め難いものがあったようだ。
 同じセミナーでは、マナオクリエーション代表・中川洋氏が、世界のトップ 20 社の規模を基準にすると、「グローバル企業として生き残る国内企業は、武田、アステラスに加えて残り1、2社だろう」と予測した。グローバル規模での新薬開発競争激化という事の深刻さが、ようやく行政にも伝わったということか。もっとも企業からすれば「土井さん、謝るくらいならもっとしっかりやってよ」と文句の 1 つも言ってやりたいところだろう。土井氏の発言が、単なるリップサービスなどではないことを願うばかりである。

(2004年9月17日掲載)