薬事ニュース社
オピニオン

>>>きっかけ<<<
 MECP2重複症候群について知ったのは3年前、厚生科学審議会の疾病対策部会指定難病検討委員会の帰り、たまたまエレベーターで相乗りした患者家族会の方に声をかけていただいたのがきっかけだった。
 同疾患は主に男児に起こり、X染色体上のMECP2遺伝子の重複が原因となる進行性重度神経疾患となる。重度の知的障害や運動発達遅滞などに加え、てんかんの合併症や、生命予後に影響する感染症や消化器症状などが繰り返される。同じく、MECP2遺伝子の欠損が原因で主に女児に起こるレット症候群という疾患も存在し、いずれも希少疾病で医療関係者の認知度が低く、確定診断まで時間を要し苦しむ家族が多い。現在有効な治療法が存在せず、対症療法と療育に頼っている状態となる。
 MECP2重複症候群患者家族会、認定NPO法人レット症候群支援機構の両者に取材を行った。子供の難病について話を聞くのは、胸が締め付けられ、身を切られる思いになるが、皆、症状に苦しむ子供たちと向き合いながらも、疾患の認知度促進や治療法の確立を目指し積極的に活動を行っており、頭の下がる思いだった。
 今般、MECP2重複症候群患者家族会の方から「アレイCGH法」の保険収載の記事化に関する要望をいただいた。「この保険適用によって検査が進むことで、診断がつき、前向きになる家族が増えてほしい」と彼らは切望している。あの日と同じように、声をかけていただいたことに敬意と感謝を表しながら、この保険適用がより多くの方の目に届くことを願う。なお2月27日に、両疾患共通のオンラインシンポジウムが開催される。
(2022年2月25日掲載)