薬事ニュース社
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>>>新政権の賞味期限やいかに<<<
 食べ物に賞味期限があるように、人にも賞味期限がある。そして、この賞味期限が切れてしまうと、その人間の語った言葉はすべてが空疎で、味気なく響いてしまう。昨今の首相に当てはめてみるとよくわかる。自らの賞味期限に鈍感だった麻生さんは、何を口にしても言葉が上滑りしてしまうのだが、悲しいことに自身でそのことに気づいていなかった。逆に自らの賞味期限に敏感すぎるほど敏感だった小泉さんは、栄華の頂点であっさりと身を退いた。思うにおそらく舛添さんも後者の口だろう。
 これはなにも、権力の座につく者だけに当てはまることではない。特段、なにかの能力に秀でているわけでもないのに、あちらの勤め先こちらの勤め先とほうぼうを渡り歩くしたたか者を結構、目にする。そのような人間は、要するに自身の賞味期限に過敏な者であって、化けの皮が剥がれそうになるとひらりと身を交わし、また新たに自分を受け入れてくれそうな集団を物色し始めるというわけだ。
 ところで自民党の賞味期限は、実は随分と前にいったん切れていた。しかし、あらゆる保存物(旧社会党や公明党)を総動員し、あの手この手で体裁を取り繕うことで、ここまでなんとか延命を図ってきたというのが実態だ。が、とうとう、誤魔化しの種も尽きた。積年の「賞味期限偽装」に対する民意が示された、それが、今回の衆院選の結果であろう。このことは、与党として国政の舵取りに乗り出す民主党にとっても当然、他人事ではない。健全な二大政党制の実現は、だから自民党がこの下野期間に「製造年月日」を更新し、「新製品」として再生できるかにかかっている。
(2009年9月4日掲載)