薬事ニュース社
オピニオン

>>>あなたの隣のモンスター<<<
 クレーマー対策はいまや民間企業だけではなく学校や病院といった公的機関の経営を考えるうえでも不可欠らしいが、「クレーム=言いがかり」をつける先によって、学校にいちゃもんをつけるのは「モンスターペアレンツ」、医療機関に難癖つけるのは「モンスターペイシェント」と呼ぶのだそうだ。
 さて、このモンスターたち。いったいどんな怪物的言動で騒がせるのか興味のあるところだが、「ペアレンツ」は「給食を食べる前にうちの子どもに『いただきます』と言わせるのはやめてほしい。うちはきちんと給食費を払っているのだからその必要はない」などとのたまうのだとか。片や「ペイシェント」も負けてはない。救急で病院に担ぎ込まれて治療を受けた挙句に「治療を頼んだ覚えはない。勝手にやったのだから治療費は払わない」。こんなモンスターが増えたら病院が赤字になるのももっともである。
 だからといって、やり場のない怒りを製薬企業や医薬品卸に向けるのもどうかと思うが。例の「新薬創出・適応外薬解消等促進加算を理由にした値上げ」の騒動である。結局、業界が説明を「自粛」することで、なんとなく事態はうやむやになっているが、病院側が何をもって「値上げ」と言っているのかは結局、はっきりせずじまい。まあ、これを病院の「言いがかり」とは言いませんが、もう少しスマートなやり方はなかったのでしょうか。
 ところでクレーマー増殖現象は国内だけに限らないようで、海の向こうにも、いましたいました、図体のばかでかいクレーマーが。この「モンスターカントリー」、国境などお構いなしにあちこちちょっかい出すわノーベル賞にケチをつけるわ、気に入らないと輸出まで止めるわとやりたい放題。日本政府も、野党にばかり文句を言ってないで、そろそろ毅然とクレームをつけてもらいたいのですが、いかがですかねえ。
(2010年11月5日掲載)