薬事ニュース社
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>>>自民党支持組織の憂鬱<<<
 第1次安倍内閣は、「政治と金」や「不適切発言」で不評を買った閣僚に対する甘さ、さらに年金問題や政治的アグレッシブさの欠如といった印象で支持率が低下。その中で臨んだ07年夏・参院の陣は大敗。後、落ち延びた内閣は、どうにか立て直しを図り、第2次内閣を布陣。が、第1次内閣の反作用か、一部を除く各派閥からの閣僚で彩った陣形も、結局うまく馭(ぎょ)することはできなかったようだ。最後は、閣僚の再失点、テロ対策特措法延長に関する民主党との調整不備などで、尾羽を打ち枯らして退陣と相成った。安倍総理は、初の戦後生まれの宰相として登板。イノベーションによる経済成長の柱として医薬品を据えるなど、多少なりとも期待を持って迎えられた面もある。
 医療系関係者はこの時期の総理辞任を受け、①近いとされる衆院選挙での自民党そのものの存亡②結果によって内閣の方針や予算に与える影響――等の不安を口にする。また「参院選での惨敗や地域医療の崩壊を横目に、『これ以上医療系組織を叩くと自民党の支持基盤そのものが危ない。だから次期診療報酬改定でのマイナスはない』との雰囲気があるが、これもどう転ぶか分からなくなってきた」とも懸念する。自前候補の首とバーターで得た“ぼたもち”の行方も怪しいとみるわけだ。さらに、安倍総理の今回の辞任は、結果として先の参院選惨敗の責任を負った形と見る向きもあるが、その影響も小さくはないだろう。これまでは、「本丸の総大将(安倍総理)の首がのっているのに、友軍の将が責任をとって詰め腹切る必要はない」との言い訳が成り立った。が今、本丸総大将の首はない。擁立候補を討ち死にさせた関係組織の長は、事によると会員から詰め寄られるかもしれない。「結果は結果、潔く責任とって素っ首を差し出せ」と。
(2007年9月21日掲載)