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>>>後発医薬品調剤体制加算<<<
 2024年度診療報酬では、後発医薬品の使用促進に向けた各施策の評価を見直すこととなった。医科の「一般名処方加算」と「後発医薬品使用体制加算」「外来後発医薬品使用体制加算」について、医薬品の供給不足などの場合での治療計画の見直しに対応できる体制整備や、患者への説明と院内掲示に関する要件を設けるとともに点数を増点。その一方で、調剤の「後発医薬品調剤体制加算」だけが変更無しだった。
 今回の調剤報酬改定では、医薬品の安定供給など地域医療への貢献に必要な体制整備や職員の賃上げを行うために調剤基本料を3点ずつ引き上げた。厚労省の説明によれば、この3点増の中に後発品の使用促進分も含まれる。さらに、10月から施行する長期収載品の選定療養化を踏まえ、調剤報酬上の「服薬管理指導料」の加算として、選定療養の対象となる長期収載品が処方された患者に制度の説明などを行った際に算定できる「特定薬剤管理指導加算3」(5点)を新設した。これらは「後発医薬品調剤体制加算」の見直しに関する代替措置とも受け取れる。
 中央社会保険医療協議会の議論では、支払側の委員から「後発医薬品調剤体制加算」のみを名指しで取り上げられ、「見直しが行われないのは非常に残念だ」「長期収載品の選定療養が導入されることを踏まえれば、後発品の使用割合を活用するという後発医薬品調剤体制加算の規定について、さらなる引き上げも必要と考えているので、次期改定では必ず議論させて頂きたい」といった指摘が出た。
 これに対して薬剤師代表の森昌平委員は「今や後発医薬品調剤体制加算の意義は、後発品を使用する体制を整えるためのインセンティブというだけではなく、これまで築き上げてきた後発品の置換え状況などを後退させないための、いわば防波堤として現場では捉えている」と反論。後発品の使用割合が最低でも80%、最高で90%と定めた数量割合の要件について「これ以上ハードルを単純に上げるのは現実ではない」と訴えた。
 後発品の数量シェアが80%を超えるなか、24年度診療報酬改定では、後発品の使用促進をさらに推し進めるために、新たなアプローチとして長期収載品の選定療養化という仕組みをスタートさせる。こうした状況下で「後発医薬品調剤体制加算」を巡っては、その役割と存続意義に関する議論が避けられない様相を呈してきている。
(2024年3月8日掲載)