薬事ニュース社
オピニオン

>>>ライブドアショック<<<
 急成長の中で歪みがちなマネージメント・営業の体制を再構成しつつM&A戦略を進め、売上・利益を大きくしていく――。証券取引法違反事件で揺れているライブドアグループの本隊、ライブドアの経営方針の一節だ。企業の時価総額、成長スピードに重きを置いたその経営実態は、偽計取引や風説の流布、粉飾決算といった、まさに歪みきった手法の産物であったことが白日の下にさらされた。
 時代の寵児としてもてはやされた経営者の下、M&Aを繰り返すことで急激な企業規模の拡大、時価総額の追及を図ってきた同社のスタイルは、企業の株式に対する意識の変革や投資家の裾野を広げるなど、マネーゲームの勝ち組の象徴として大きな影響を及ぼした。それだけに、ライブドアショックは株式市場の枠を超え、様々な方面に波紋を広げた。
 バーチャルな世界でのマネーゲーム。ITの発展により、そのスタートラインに立つことがそれほど難しくなくなった。企業にとっては、アメリカ型グローバル化の波を受け、よりスピードが重視される中でゲームへの参加を余儀なくされつつある。しかし、企業にとってゲームに参加する上での重要なことは、自動車にしろ医薬品にしろ、良いモノを売る、良いサービスを提供する、といった確固たる実態があってこそ意味があるのではないか。
 崩壊の危機にさらされているライブドアグループをみると、地道に事業を邁進しているところには大きな注目が集まっている。今回の事件が、ゲームのイベントとして流されていかないことを願う。
(2006年2月3日掲載)