薬事ニュース社
オピニオン

>>>情報を発信する切り口<<<
 このほど、厚生労働省から『都道府県別死因の分析結果』というものが発表された。これは、「国民や地方自治体などにおいて、生活習慣や今後の施策の見直しにつなげられたら」との観点から、脳血管疾患、心疾患、糖尿病など11疾患を対象に、疾患毎の死因の多い都道府県及び少ない都道府県の列挙などを行ったものだ。一例を挙げると、「胃がん」の死因が多い都道府県としては、男女ともに秋田県が1位、少ない都道府県のトップは男女ともに沖縄県といった具合。分析結果には、参考として疾患毎の危険因子の情報が示されており、分析結果に対する直接の因果関係を示すものではないが、分析によって示された都道府県の傾向と併せ、疾患を予防する上で非常に役に立つ情報と言えよう。
 いつもながら、何かを記事する場合、正確性、表現方法など、多くのことに注意を払う。記事は、受け手にとって情報だ。『都道府県別死因の分析結果』の内容からすれば、今流行りの“県民性”として取り上げることも可能だろうが、それではこの分析の本質は伝えることはできないだろう。取り上げ方によっては、国民の健康管理上とても有益な情報となるが、その一方で都道府県の誤った認識を植え付けてしまう可能性も十分にある。情報を発信する切り口は、書き手や媒体の色であり、それがいわば“面白み”である。この色を出しつつ、伝えるべきことを明確に発信することは本当に難しく、頭を悩ませる。
(2008年4月25日掲載)