薬事ニュース社
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>>>“メタボ健診”がやってきた<<<
 生活習慣病有病者・予備群の減少をめざして、「特定健診・特定保健指導」が始まった。「本態性高血圧と糖尿病の発症を遅らせることができる」「リスク層別化、リスク別介入、効果評価に関するデータベース構築」といったメリットが期待される一方、「保健指導の手法が未確立」、「診断項目および基準の妥当性」など、疑問の声も上がっている。
 一般紙などでこの制度を紹介する記事には、でっぷりとした腹部のイメージ写真がつきものだ。そのような写真を見る度、わが腹部を眺め「腹囲だけで判断されては堪らない」と反発する。心血管イベントのリスクは腹囲(肥満)以外にもあるうえ、ウエスト基準値(男性85cm、女性90cm)については、国際的な基準と合致せず、「科学的な根拠が薄い」と医師から批判されている。だから太って良いということにはならないが・・・。
 また、特定健診制度が始まると、市町村が40歳以上を対象に行っていた住民検診は廃止される。従来行われていた検査項目のうち、検尿や肺レントゲンなど特定健診には含まれていないものがある。検尿によって慢性腎臓病のチェックに不可欠なクレアチニンが測定できる。慢性腎臓病患者は人口の10%前後が発症すると言われ、進行すれば腎不全となり、透析が必要になる。肺レントゲンがなくなると、肺がんなどのチェックができなくなる。どちらの項目も「自分は大丈夫か」と不安になる。特に、日本人の死亡原因の第一位であり、患者の増加が見込まれるがん。チェックはしたいが、何度も医療機関に足を運ぶのも面倒だ。受ける側としては、一度でメタボからがんまで済むほうがありがたい。
(2008年4月18日掲載)