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>>>「米国が熱い視線を注ぐ日本市場」<<<
  在日米国商工会議所ヘルスケア・サービス委員会はさきごろ、 MRI,CT, X線撮影、リハビリサービスなど 12 分野の病院内医療サービスに関して、株式会社参入を求める意見書を発表、厚生労働省や関係団体に提出した。
 意見書は、株式会社参入で医療の質の向上、効率化が図れると主張。参入する領域については、特定の行為が繰り返し行われ、専門技術を要し、患者の安全性とプライバシー面で比較的リスクの低い病院内の医療サービスに限定するとして、理解を求めている。
 在日米国商工会議所は昨秋、病院経営への株式会社参入を求める意見書をまとめているが、今回の提案は、全面解禁が難しいと見て部分解禁を求めたものだ。「比較的安全性の高い部分で試してみましょう」という訳だが、視線の先には全面解禁がある。高齢化の進んだ日本の医療市場を非常に高く評価し、市場解放を目指す熱意を感じる。
 在日米国商工会議所関係者は、今回の提案が実現した場合、「 500 億円規模の対日投資をする準備がある企業は複数ある」と言う。また、「規制緩和によって、日本の医療市場は現在の 30 兆円から 50 兆円程度にまで拡大する」とも。医療保険制度が市場の拡大を阻んでいるとの見方だ。
 医療保険制度の抜本改革が言われて久しい。米国側は、規制緩和を訴える一方、参入に向けた備えも行っている。現行制度の継続を前提に縮小均衡路線に走った場合、新たな市場が開けた時に乗り遅れることになるだろう。それは、医療サービスに含まれる医薬品事業についても同様だ。

(2004年5月14日掲載)