薬事ニュース社
オピニオン

>>>バッタによる大厄災<<<
 現在日本では、新型コロナウイルス感染の話題で持ちきりだ。それはもちろん当然のことで、世界中で感染者と死者が増え続けている。東京五輪・パラリンピックの開催も危ぶまれ、パンデミックと言っても良い状態だ。ただ、その裏で現在、東アフリカを大厄災が襲っていることも忘れてはいけない。
 大厄災の正体は、バッタが大量発生して農作物を食い荒らす「蝗害(こうがい)」だ。東アフリカを中心に数千億匹のバッタが農作物被害を生んでいる。国連食糧農業機関(FAO)によると、特にケニア、エチオピア、ソマリアの3カ国で1000万人を超す人が深刻な食糧不足に直面しているという。これは過去最大規模の被害で、FAOは今後さらに数千万人が食糧難に陥る可能性を指摘している。
 大量発生しているのは、サバクトビバッタという種のバッタで、1日に150キロメートル移動し、被害をもたらす地域を拡大し続けている。想像を絶する大群でこれだけの距離を移動し、農作物を食い荒らすのだから、その被害が尋常ではないことは容易に想像がつく。ではなぜバッタが大量発生したかというと、地球温暖化と密接な関係があると考えられている。温暖化によって砂漠に大量の雨が降ることや、繁殖期間の長期化などで大量発生につながったという。またアフリカ特有の問題として、財政難や紛争による政治的空白の発生によって、各国政府が有効な駆除対策を行えていないことも一因にある。
 バッタの数は春以降、何百倍と増える可能性が指摘されている。大げさでなく、国を滅ばしかねない事態だ。コロナウイルスだけでなく、蝗害に対しても国際社会はどう立ち向かっていくのか、早急に対策を打ち出す必要がある。
(2020年4月3日掲載)