薬事ニュース社
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>>>テーラーメード医療実現への第一歩<<<
 患者のゲノム情報をもとに医薬品に対する薬剤反応性を予測し、患者 1 人ひとりに対して最適な薬剤・投与量を選択する“テーラーメード医療”の実現がいよいよ現実味を帯びてきた。
 米国食品医薬局(FDA)は 2003 年 11 月、「ファーマコゲノミクス(ゲノム薬理学)データの提出に関するガイダンス(案)」を発表。指針案では、「提出を義務づけるものではない」との断りはあるものの、科学的根拠がある場合、薬効や副作用を呈した患者のDNAデータを任意で提出することを推奨している。一方、日本においても、国はテーラーメード医療実現に向けて、本格的に指針案作成に乗り出した。
 厚生労働省は 6 月、「医薬品の臨床試験におけるファーマコゲノミクスの利用指針の作成に係る行政機関への情報の提出等について(案)」を発表、パブリックコメントの募集を行ったところである。また、最近では、非小細胞肺がん治療剤イレッサ(一般名=ゲフィチニブ、アストラゼネカ)など、遺伝子との相関関係が次第に明らかになってきた薬剤も出てきており、患者の遺伝子をもとにした、有効性・安全性確保のための投与群選択なども現実味を帯びてきた。
 しかし、技術的な問題、情報管理・倫理面の問題など課題は多い。また、テーラーメード医療実現のための薬剤が、特定の患者にだけ投与するため、「市場限定に繋がる」との声も聞かれる。まだまだ課題山積。多くの企業は、ファーマコゲノミクスに関して、他社の動向を様子見しているのが現状のようだ。

(2004年9月10日掲載)