薬事ニュース社
オピニオン

>>>イチロー、谷こえ山こえ<<<
 触れないわけにはいかないか。ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)の決勝、日本は韓国を5対3で下して連覇を果たした。一喜一憂で見守った多くの国民が、大きな元気をもらったのではなかろうか。それにしても、イチローの役者ぶりたるや――。3対2から1点を返され、同点で迎えた延長イニング表の攻撃、2死1、3塁の場面、用意されたように彼がそこに登場。2ストライクから4連続のファウル、7球目のボール見送り後、8球目で走者一掃の2点タイムリーを放つ。日本は、そのまま迎えた裏の守りを無失点に抑え、2度目の頂点に立った。イチローはWBC初戦からの不振で、戦犯必至の境遇にもあった。が一転、ここ一番でその重圧を払拭する勝打を決めるところは、さすが看板選手。そのインパクトは、野球観戦素人にとっても“ベタ”なスポ魂漫画を見るようでわかりやすく、痛快だった。
 一方、WBC勝利を伝える同じニュース番組は、期せずしてもうひとりのイチローの沈うつな表情も映し出した。「谷を越えて山に登った」とポジティブにコメントするメジャーリーグ在籍のイチローに対し、これからメジャー(政権与党)を、と窺(うかが)うもうひとりのイチローのニュースは、周知の通りポジティブな内容ではない。番組では同報道を受け、お約束のほろ酔いサラリーマン駅前インタビューも実施。
 「いやぁ、執念だね。2アウト2ストライクで追い詰められて、ファウルを出しながらのあの最後の粘りは。えっ、そっちのイチローじゃない?」。こんな回答もあるかと期待はしたが・・・。
 薬業界も、政権のあり方で大きな影響を受ける。WBCとは違った意味で気になるところだが、色んなところに山や谷があるものだ。
(2009年4月3日掲載)