薬事ニュース社
オピニオン

>>>「否定」の「否定」<<<
 医療情報データベース事業の見直しについて議論が進んでいる。医療情報DB事業は、全国10医療機関で1000万人規模のDBを構築するものだが、昨年6月の行政事業レビューで「抜本的改善が妥当」と仕分けられた。しかし、事業は走り出しており、東大病院をはじめDBの構築に関しては最終段階まで来ている状況だ。そこで事業継続に向けて「ロードマップ」を作成すべく検討会が立ち上がったのが昨年12月である。
 しかし、検討会での議論は概ね「否定の否定」に発展している。行政事業レビューは、医療に詳しくない者が理想を掲げて評価したものであり、事業は当初案のまま実行すべきというのがおおよその検討会での意見だ。
 たしかに、行政事業レビューでの厚労省側の説明は十分だったとは言えない。とくに事業の眼目でもある「1000万人」のところが、10医療機関で300万人程度にとどまることが明らかとなったことは痛い。そこでレビューでは、手法を見直し、医療機関の拡充方法など1000万人規模に至るロードマップを示すことなどを求めたのだ。しかし、検討会では「300万人でも重要性ある」とし、拡充に関しても「10医療機関で始めるべき」との意見が強い。まずは第一歩として始めることが大事というわけだ。
 検討会の意見はもっともだと思うが、これではロードマップは示せそうにない。仮にこのまま事業継続となった場合は、行政事業レビューの存在意義に疑問符がつきそうだ。
(2014年2月7日掲載)