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>>>患者数が増えても変わらない悩み<<<
 厚生労働省が定める特定疾患は、①患者数が概ね5万人未満の疾患とする稀少性②原因または発症機序が未解明の疾患③効果的な治療方法未確立④生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)――の4要素に基づき医療費の補助が受けられる。日本国内のパーキンソン病患者は7万人を越え、①の希少性に当てはまらなくなり、厚生労働省は特定疾患から除外すると提案。しかし、患者会が猛反発し、症状がステージ1・2の軽度の患者のみが除外されることとなった。
 パーキンソン病の症状は、ステージ1から5に分けられ、軽度に分類されるステージ1では身体の片側だけに障害が発現、同2は症状が両側性で、日常生活がやや不便となる。また、中等度のステージ3では姿勢反射障害・突進現象があり、起立・歩行に介助を要する、ステージ4・5は、起立不能で、日常生活は全介助を要するとなっている。
 パーキンソン病は、中脳黒質のドパミンニューロンの脱落により、発症するという説もあるが、完全には解明されていない。また、高齢になるほど発症しやすく、60歳以上で急劇に増加するため、今後は患者が増加すると考えられている。加えて、アルツハイマー病を併発しやすいことも指摘されている。
 今回の行政の提案は機械的に過ぎるのではないか。医療費抑制の圧力が強いのは承知しているが、自身も患者である患者会会長の「患者数が増えても大変さは変わらない」とのコメントがせつなかった。
(2008年8月22日掲載)