薬事ニュース社
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>>>真善美と黄金比<<<
 ゴールデンウィーク(黄金週間)直後だからという訳でもないが、「黄金比」について。古来から人間は5対8の比率を持つものに美しさを感じるという。建築物や絵画の構図、顔や身体の造形などの各パーツの位置や縦横比率に関して、ほぼ万人が好ましいとするその比率が5対8=黄金比なのだそうだ(より正確には1対1・618)。実は人間のDNA二重螺旋の波長比や正常な細胞分裂の規則性に表される数値がそれだから、人間は自然に黄金比を美しいと感じるようにプログラムされているという説がある。また、いわゆる均整がとれた身体や顔のフォルムを人が美しいと思うのは、そのフォルムを有するということが免疫力=生命力が高いということの証拠だから、とも言われる。
 これは視覚的な問題のみならず、味覚や嗅覚についても当てはまるのではないか。美味しい=新鮮だったり旬のものだったりして滋養深い。まずい=腐っていたりして体に悪い。造形が正しい=免疫力が高い=美人さんは、良い香りがする(ような気がする)……。つまり人間が好ましく感じるもの=生きるためにプラスに作用する「正しい」ものでもあったのだ。
 しかし世知辛い現世においては、純粋な「真善美」の世界観が崩されていく場面に結構遭遇する。「善良そうに見えた人にダマされた」「キレイな人が悪者だった」というような場面である。そこで人間は学んでいくのだ。甘い言葉=善き言葉ではない、キレイだったのは外面の化粧であって本性ではない……。
 そんな中で黄金比はやはり信頼するに足るのであろうか、PCモニタの縦横比は5対8が見やすいし、週末の夜に飲む芋焼酎も、水と焼酎の割合は、やはり5対8くらいがちょうど良いなと感じる今日この頃。
(2010年5月7日掲載)