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>>>骨太方針2021と医薬品政策<<<
 「骨太方針2021」が政府・与党間の調整を経て閣議決定された。医薬品政策で焦点の1つだった後発医薬品の新たな政府目標は「23年度末までに数量シェアを全ての都道府県で80%以上」に決定。数値目標自体の引上げは行わず、地域間格差を是正する方針に留めた。薬価政策関連では「革新的医薬品のイノベーションの評価と、それ以外の長期収載医薬品の評価の適正化を行う観点から薬価算定基準の見直しを、透明性・予見性の確保にも留意しつつ図る」としている。
 今回の骨太方針で与党の考えはどの程度反映されたのか。まず後発品関連について自民党内では当初、後発品業界の信頼回復を優先的に図るべきとの考えから「目標設定の取り下げ」との意見も出ていた。結果としては「全都道府県で80%以上」と設定されたものの、数値自体は変わっておらず、かつ「品質・安定供給の信頼性確保」を前提とする一文も加わった。厚労省医政局経済課も「従来の延長線上の取組みを定着させる」との認識を示しており、複数の自民党議員が「党の考え方が反映された」と胸を張る。
 一方の薬価政策はどうか。「特許期間中の新薬の薬価維持」といった製薬業界側の要望を汲んだ党側の主張は全く盛り込まれず、「革新的新薬のイノベーションの評価」と「長期収載医薬品の評価の適正化」を両立するという従来方針が示された。政府との最終調整で原案の段階に無かった「透明性・予見性の確保」との文言を何とかねじ込んだに過ぎない。衆議院選挙が迫るなかで、厚生労働関係議員を中心に自民党が政府に働きかけて決着した今回の結果を、製薬業界側はどのように評価しているか。
(2021年6月25日掲載)