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>>>犬用の分子標的薬が登場<<<
 犬用抗がん剤「パラディア錠」(一般名=トセラニブリン酸塩)が発売予定となっている。製造販売業者はゾエティス・ジャパンだが、同社はファイザーのアニマルヘルス事業部門が独立したものだ。効能効果は「PatnaikグレードⅡ(中間型)またはⅢ(未分化型)の再発した皮膚の肥満細胞腫」。昨年10月に国内初の犬用抗がん剤として承認されていた。
 作用機序は、悪性腫瘍における受容体型チロシンキナーゼRTKを標的とし、血管内皮細胞増殖因子を阻害することにより血管新生を阻害する。類薬は、人用の抗がん剤「イレッサ」(一般名=ゲフィチニブ)となる。つまり、パラディアは分子標的薬で、犬用抗がん剤にも分子標的薬が登場したということになる。用法・用量は、体重1㎏当たり3.25㎎を2日に1回経口投与する。なお、体重5㎏未満の犬には使用しないこととされている。
 肥満細胞腫は、犬ではよく見られる腫瘍で、治療の第一選択は外科的切除となる。体力などの原因で外科的切除ができない場合は化学療法となるが、これまでは副腎皮質ステロイド、イマチニブ、アルカロイド系の抗悪性腫瘍抗生物質など、人用医薬品を利用していた。
 人と同様、犬も高齢化が進んでいる。がんを発症する犬も増加しているのだ。このような中、犬用抗がん剤の発売は、飼い主が待ち望んでいたものといっても過言ではないだろう。分子標的薬の登場で、犬用コンパニオン診断薬が登場するのもそう遠くないのではないだろうか。
(2014年5月16日掲載)