薬事ニュース社
オピニオン

>>>辛いことが多いので<<<
 生きていると辛いことが多い。だからあんな記憶やこんな記憶などは、できれば忘れてしまいたい。もしもそんな悩みを解消する薬があれば、人間として一皮剥け、言動にもキレが増すに違いない。PTSDなどに苦しむ人も、平穏な日々を取り戻せるに違いない…。といった事を特段辛い事もないのに考えていたら、ある日の海外ニュースで、スイスの研究者たちがネガティブな記憶“だけ”を減少させる薬物を特定したと聞いた。結論は確かな試験に基づくもので、今回の結果を基に、新薬開発を行う新たな会社も設立されるという。
 さては画期的な新薬登場かと思ったのだが、その正体が実は抗ヒスタミン薬で、市販の睡眠導入剤などに含まれているジフェンヒドラミン、と聞いてコケた。それでも結構なニュースには違いないのだが、巷であまり騒がれていないのは、やはり乱用の可能性を孕むからなのか。
 さて、そんな効果を確認するのに最も手っ取り早いのは、やはり自ら実践することだろう。ネガな記憶なら結構ある、と鼻息を荒くしても仕方がないが、仮に記憶が軽減されなくても、快眠の日々を過ごせることは間違いない。とりあえず目前には年末年始の休暇が控えているし…などと考えたが、流石に色んな方面に叱られそうなので、止めた。そもそも「機嫌が悪かったが、寝たら直った」というのとはどの程度違うのか、という疑問もある。新薬開発の進捗を見守ろうと思う。
 というわけで、やはり年末年始は良く飲んで良く寝て、できれば帰省や旅行などでポジティブな記憶を塗り重ねた方がベターと考える次第。皆様も良いお年をお迎えください。
(2013年12月27日掲載)