薬事ニュース社
オピニオン

>>>“口は災いの元”と言うけれど<<<
 4月29日に開催された織田幹雄記念国際陸上競技大会で京都・洛南高等学校の桐生祥秀選手が、男子100メートルでジュニア世界記録に並ぶ日本歴代2位の10秒01をマークした。この若きスプリンターに日本人には手が届かないと思っていた9秒台への期待が高まる。
 その感動の瞬間はいつ訪れるのか。せっかくなら世界が注目する大舞台で実現して欲しい。8月にモスクワで開催予定の世界陸上への出場も囁かれているが、16年のリオデジャネイロオリンピック、そして東京が候補地に名乗りを挙げている20年のオリンピックには今より心身ともに成熟し、さらに進化した走りを見せてくれるだろう。もし東京で開催されることになればぜひ会場まで足を運びたいものだ。
 20年のオリンピックには東京の他に、スペインのマドリードとトルコのイスタンブールが候補地として最終選考まで残っており、東京招致の実現に向けては猪瀬直樹都知事を中心に活動を続けている。国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会が視察に訪れた際は、安倍晋三首相や各競技のトップアスリートなども積極的にアピールし、委員から高い評価を受けた。高評価を受け「これは東京開催もあり得るんじゃないか」と期待したが、猪瀬知事がイスタンブールへの批判とも取れる発言をしたことで雲行きが怪しくなってきた。IOCは処分をしないことを決定したが、決して影響はゼロではないだろう。口は災いの元とはよく言ったものだが、自分の口にオリンピック開催に向けた莫大な資金と大勢の期待が込められていることを忘れずに発言していただきたい。
(2013年5月17日掲載)