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>>>医薬品特許の取扱い、15年ぶり見直しへ<<<
 医療用後発品の薬事法上の承認審査に係る医薬品特許の取扱いが15年ぶりに見直される方向だ。医薬品の安定供給を図るため、承認審査の過程で頻発している先発品と後発品との特許紛争を回避するのが狙い。厚生労働省は4月9日、見直しの方向性を示したパブリックコメント案を公表。5月11日まで意見を募集し、それを踏まえて通知を改正する方針だ。
 見直し案の要点は、「先発品に有効成分に係る物質特許が存在する場合には、後発品を承認しない」とする一方、「先発品の一部の効能効果、用法用量に特許が存在する場合等については、後発品を承認する」としている点。現行後発品の承認条件は、新薬の特許期間の満了、つまり、先発品に係る物質特許が切れ、かつ薬事法上の再審査期間が終了していること。しかし、先発品メーカーは収益を保持するため、効能追加等による用途特許を取得して特許期間を延長し、後発品参入の遅延を図ってきた。それが昨今の特許紛争を生む一因にもなっている。先発品に用途特許が存在していても、物質特許が切れ、かつ再審査期間が終了していれば、後発品を承認するというのが、今回の見直し案の趣旨である。
 厚労省は、医療費抑制を図るため、医療機関等に先発品から後発品への切り替えを促すなど、02年度から後発品の使用促進策に本格的に乗り出している。政府目標である「12年度までに後発品の数量シェア30%以上拡大」実現のためだが、すでに医療現場では先発品メーカーが対抗策として値引き攻勢を駆け、後発品を下回る価格を提示してきていると聞く。今回の見直し案が実現すれば、後発品の上市チャンスはさらに拡がることになりそうだが、一方で、それが引き金となって医療現場での値引き競争は過熱しそうだ。
(2009年4月17日掲載)