薬事ニュース社
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>>>消費税とタバコ税の微妙な関係<<<
 消費税10%への再増税を予定通り行うか否か、判断の時期が目前に迫り、医療界でも対応策で各団体の動きが活発化している。そうしたなかで、興味深い調査結果が先月末、ファイザーから発表された。これは、全国47都道府県から喫煙者をそれぞれ200名、合計9400名抽出し、禁煙に対する意識やニコチン依存症に対する理解、医療機関での受診状況、受動喫煙防止条例に対する意見などを把握するために行われたもの。
 その結果、この1年間に禁煙に挑戦した喫煙者が29.3%いたものの、その半数の50.5%が1週間未満で禁煙を断念、1年間で5回以上禁煙にチャレンジした喫煙者も10.6%存在するなどの実態が明らかになっている。なかでも注目されるのは、ほぼ半数の48.9%の喫煙者が、来秋の消費税10%引上げにより予想されるタバコの値上げをきっかけに「禁煙しようと思う」と、禁煙に意欲を示していること。さらに禁煙を考えるタバコの価格としては500円程度が39.9%で約4割を占め最多となった。平成22年のタバコ税大幅引上げを契機に禁煙に踏み切った人が相当数いたこと(ほかでもない、これを書いている当人もそのクチですが)を考慮しても、説得力のある数字だろう。ちなみに今回の調査でも、禁煙に挑戦した人に理由を訊ねたところ、もっとも多かったのは「自分自身の健康が気になったから」で61.9%だが、それに次ぐ2位には35.3%で「タバコ代を捻出しづらくなったから」が挙がっている。
 さて、財政規律最優先で何が何でも消費税引上げを実現したい反面、タバコ税が減るのも嫌がるはずの財務省が、この数字をどう受け止めるだろうか。前術のタバコ税大幅引上げ時に、値上げによる禁煙効果は実証済み。意外に「タバコ税減収を嫌って消費税増税断念」てなことにならないか。まあ、いちばんありそうなのは、喫煙者離れを防ぐ「小幅値上げ」ですが。
(2014年11月14日掲載)