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>>>プラセボ効果は予想外に大きい<<<
 第12回日本うつ病学会総会及び第15回日本認知療法学会が7月17日~19日、開催された。講演の一つに、うつ病におけるプラセボ効果について言及したものがあった。抗うつ薬とプラセボを比較した6つの試験をまとめたメタ解析によると、軽症のうつ病では、抗うつ薬とプラセボの間で効果に差がつかなかったという。この結果から、軽症のうつには抗うつ薬は効かないという噂が流れたそうだが、「抗うつ薬は軽症には効かないのではなく、プラセボと差が付くのは重症でないと差がつかないという解釈をしなければいけない」と講演では指摘していた。効果を見た曲線も、抗うつ薬とプラセボでほぼ同じ曲線をたどるという「衝撃的な結果」だったことに加え、PETで脳を検査すると、いわゆる帯状回や前頭前野という、一般的にうつ病に関係すると言われているところがプラセボでよくなっていたとのことだ。
 一方、日本医学会総会におけるジェネリック医薬品に関する講演では、先発医薬品からジェネリック医薬品に変更したところ、これまで得られていた効果が得られなくなった原因として、プラセボ効果を挙げていた。プラセボ効果は、プラスにもマイナスにも働くということらしい。いずれにせよ、両講演とも「プラセボ効果は予想外に大きい」ことを指摘しているのに加え、日常診療においてはプラセボ効果も治療効果の一つとして、うまく利用するよう呼びかけている。
(2015年8月7日掲載)