薬事ニュース社
オピニオン

>>>盟主の座<<<
 剤師集団の“盟主”は日本薬剤師会である、というのは堂々たる既成概念ではある。ただ、組織の色合いは異なるものの、こなたでは成長産業であるドラッグストア業界代表が、あなたでは会員企業の調剤部門売上 9000 億円超という新興の保険薬局団体が台頭。それぞれ今後の流通面のルール作りに大きく作用する公の会合に各界代表として列席、市場に与え得る影響から、その発言も無視すべからざる存在となっている。そうした昨今の環境を背景に、日薬会員内からも盟主の座の揺らぎを指摘する声が挙がった。対して日薬は、懸念を残しながらも「薬剤師の代表」との歴史的経緯や、中医協における「既成概念」等を自信の拠り所とする。が、新興両団体は日薬が牙城と自負する保険上の領域にも“注文”をつけたくてうずうずしている。事実、台頭組織のある会員企業はこううそぶく。「ナンでもカンでも日薬というのは問題。これからは組織を通して我々の主張もどんどんできるという点で期待する」。
 そういえば、過日の日薬代議員会でのひとコマが思い浮かぶ。会場となったホール中央、衆目が慄然と仰ぐ天井の一角では照明を覆うプラスチック製のカバーがずれ、鋭利な角が館下に向け垂れ下がっていた。幸い事なきを得たが、いま思えばそれは、当該組織のある種の危機を認識せしめる「ダモクレスの剣」だったのかもしれない。

(2004年8月6日掲載)