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>>>インフルエンザの大流行<<<
 東京都感染症情報センターはこのほど、9月18日から24日までの1定点医療機関あたりのインフルエンザの患者報告数は12.19人だったことを発表した。前週は11.37人で、9月に2週連続で10人を超えるのは初めてだという。インフルエンザは例年、12月から3月に流行時期を迎えるが、今年は例年になく前倒しで感染が広まっていることが分かる。患者報告数の半数以上は0歳から14歳までで、19歳までの患者報告数が全体の7割を占めているとのことで、学級閉鎖なども相次いでいる。 
 日本感染症学会はこうした状況と新型コロナとの同時流行が懸念されることから、「インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨するべき」との見解を提示。さらに「今までに例を見ない状況」だと危機感を露わにしている。また流行の要因として、2020年以降、インフルエンザの大きな流行がなかったことから、子どもや高齢者を中心に抗体の量が減って感染しやすい状態の人が増えている可能性があると指摘している。
 新型コロナの感染拡大で、マスク着用、手洗い・手指消毒の習慣が定着した時、インフルエンザの感染者数は激減したが、インフルエンザに対する集団免疫は低下した。インフルエンザが重症化することによって、命を落とす場合がある。新型コロナもまた猛威を振るいつつあるが、あらためて予防とワクチン接種が重要だということを忘れてはならない。
(2023年10月6日掲載)