薬事ニュース社
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>>>ボジョレーヌーボ<<<
 11月16日に、ボジョレーヌーボが解禁となった。ご承知の方も多いと思うが、ボジョレーヌーボとは、仕込みから2ヵ月程度で発売されるフランスのボジョレー地方で作られたワインで、全世界的に毎年11月の第3木曜日にその発売や飲むことが解禁となる。日付変更線の関係上、世界中で最も早く日本で解禁日を迎えることから、毎年11月に入ったあたりから、マスコミでも何かと話題に取り上げられるワインだ。
 このボジョレーヌーボに限らず、日本人は〝初物〟を特別なものとして喜ぶ傾向が強い。江戸時代の初鰹などはあまりにも有名であるし、初物を食べると「寿命が延びる」といってありがたがる。飲食物は、初物を意識する最たるものであるが、最近では技術の進歩や輸入等の影響で端境期が少なくなったこともあり、初物と出会う機会が減少している。ボジョレーヌーボの解禁がマスコミ等で大きく取り上げられる背景には、こうした要因も関係しているのだろう。
 薬の初物については、医薬産業政策研究所のリサーチペーパーに興味深い調査結果が出ている。2000~05年に日本で承認された新有効成分含有医薬品のうち、海外における上市状況が確認できた134品目をみると、海外よりも先行して日本で上市された品目は7品目だった。薬には、期待される効果と期待されない副作用とがあり、人種による効果の出方に違いがあるので飲食物の初物と同視しがたいが、日本の承認審査体制や治験環境が他国よりも劣っており、それ故に初物が出難い状況であるならば、日本人としてとても残念に思う。
(2006年11月24日掲載)