薬事ニュース社
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>>>ネクスト・リタイアメント・ステージ<<<
 世界一のお金持ち、ビル・ゲイツ氏が 2008 年 7 月をもって経営の第一線から退く。今後は、 2000 年に夫妻で創設した慈善財団『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』での活動に主軸を移す計画。財団の資産額は 300 億ドル弱といわれるが、その規模は最大、ダントツ。“わが業界”では、ゲイツ財団に資産総額で大きな差があるものの、イーライリリー社の研究支援団体『リリー エンドウメント インク』も資産総額上位に名を連ねる。ゲイツ財団も「世界規模の医療水準向上」を優先事項のひとつに掲げており、目指す大儀では、お仲間といえなくはない。  ちなみに、世界 2 番目のお金持ち、投資家のウォーレン・バフェット氏が、ただでさえダントツトップの資産規模・ゲイツ財団に、 300 億ドルを気前よくポンッと寄付したというからさらに唖然とする。『バフェット財団』をつくれば、世界一の慈善財団を作れただろうに、そうしないところに気風(きっぷ)のよさを感じもする。本邦では税制などもネックとなり、寄付文化はどちらかというと育ちにくいとも聞くが、彼国の宗教観からくる博愛主義の慈善精神とそのスケールの大きさには驚かされる。閑話休題。  同じ引退ネタならば、先日幕をおろしたサッカー W 杯つながりで、いま旬な中田英寿選手の現役引退を取り上げるべきかもしれない。が、いかんせん当方、そちらにはひたすら、うとい。が、共に大きなインパクトがあるなということは容易に想像がつく。両人ともに余力を残しての引退ときく。道を極めた傑人であり、新たな道でもその才能は大きく社会に貢献することだろう。特にゲイツ氏は、毀誉褒貶の評価が存在するも、人類史におけるひとりのエポックメーカーである点は疑いない。新たな舞台でも医療水準向上等、エポックたる成果を期待したい。
(2006年7月14日掲載)