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>>>大揉めの予感漂う予算編成<<<
 政府は7月30日の閣議で、2005年度予算の概算要求基準を了解した。国家財政の逼迫を憂い、前年に続いて「歳出改革路線」の堅持・強化を掲げ、8月末に各省庁が財務省に提出する見積もりに圧力を掛けてきた。特に高齢化の進行で毎年1兆円程度増えている社会保障関係費に対する風当たりは強く、来年度は自然増見込み1兆800億円のうち8600億円の増額分しか認めず、差引2200億円は制度見直し等で工面するよう迫ってきた。
 圧縮額としては今年度と同額。だが、工面に当たる自民党・厚労省側は「今年度以上に厳しい」と観測する。年金給付引下げで1000億円強の財源確保があった上、診療報酬・薬価改定という切り札を持っていた今年度と比べ、来年度は「あっても小物ばかりで大所がない」(党幹部)のが実状だからだ。三位一体改革の行方次第では大所に化けそうなカードがあるにはあるが、「それでも医療分野にメスを入れないと足りない」という。もしそうなれば、改定に続く2年連続の医療費圧縮となるだけに医師会の猛反発は必至だ。
 先の参院選で医師会は党内で唯一組織票を伸ばし存在価値を高めることに成功した。ある党関係者は「これまで以上に党への突き上げが強くなりそうだ」とポツリと一言。大揉めの予感漂う予算編成作業は年末のゴールに向けて走り出した。

(2004年8月20日掲載)