薬事ニュース社
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>>>次期政権下での社会保障の潮流<<<
 自民党総裁選に安倍晋三、谷垣禎一、麻生太郎各氏が立候補した。現在、9月20日の投開票に向け、街頭演説会が全国各地で開催されるなど熾烈な選挙戦が展開されているが、小泉純一郎首相が圧倒的優勢にある安倍氏を支持すると明言したことで、投票結果を待つまでもなく、安倍氏が総裁ポストを掌中に収めるのは確実となった。このことは同時に、次期首相のポストに最も近い人物となったことも意味する。
 安倍氏は1954年生まれの51歳。投開票日の翌21日に52歳の誕生日を迎えるが、安倍氏が首相になれば、戦後最年少の首相誕生となる。若くして党幹事長や官房長官の重要な任務にあたっては、右肩上がりで知名度を上げていったが、実は厚生関係議員であることは意外に知られていない。党内では現在の厚生労働部会にあたる社会部会の部会長を務め、2000年度診療報酬改定に携わったほか、衆議院厚生委員会(当時)の理事を務めた経験を持つ。
 安倍首相誕生が色濃くなってきた今日、医療界の関心事は安倍氏の社会保障政策だろう。小泉政権の誕生を機に3期6年に及ぶマイナス改定という辛酸を舐めてきただけに、景気回復の兆しが見え始めている今こそプラス改定を、という期待感は強い。しかし安倍氏が打ち出した政権構想では、「成長なくして財政再建なし」を前面に出し、増税ではなく、歳出削減の徹底を優先的に取り組む考えを表明。小泉首相の歳出削減路線を踏襲する姿勢を明確にしている。
 となると、安倍政権下でも社会保障費の引き締めは続くことが観測される。医療界が楽観視できるのは当面先の話になるのかもしれない。
(2006年9月15日掲載)