薬事ニュース社
オピニオン

>>>卵価格とインフルエンザワクチン<<<

 最近、近所のスーパーマーケットで卵の特売が行われなくなった。毎週土曜日に特売市としてMサイズ10個100円程度で販売されていたのだが、それが行われなくなり、再開する日を待ちわびている。
 そんなことを考えていたら、10月13日~14日に開催された日本臨床内科医学会のシンポジウムでおもしろい話を聞いた。季節性インフルエンザのワクチンは鶏卵培養法で生産しているのだが、「卵馴化」により効果が低下してきているという。鶏卵内で培養を行う際、ワクチン株が卵の環境に適応して、予防接種してもインフルエンザに反応しないということが起こるそうだ。そのため、鶏卵培養法ではなく、細胞培養法による生産の必要性を指摘していた。
 食用の鶏卵とワクチンの生産に使用する鶏卵とは違うものだが、全てのワクチンを細胞培養で賄うことができれば、ワクチン用の鶏が食用にまわってきて、卵の価格も安くなるのでは。そんなことを考えた。
 しかし、話は全然違うらしい。農林水産省の事業に「成鶏更新・空舎延長事業」というのがあって、卵の標準価格が基準を下回った際、鶏を集荷して鶏舎を空にしたところには補助金が出るというのだ。それが今年5~7月に発動して鶏の数が減ったことに加え、今夏の猛暑で鶏が多数死んでしまったことが卵価格の高騰の原因となっているらしい。12月くらいには鶏の数も戻るとのことで一安心だが、それとは別にインフルエンザワクチンは早急に細胞培養法に切り替えるべきだ。

(2013年11月8日掲載)