薬事ニュース社
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>>>どちらに転ぶか“増税元年”の初詣<<<
 07年が明けた。警視庁の発表によると、正月三が日に初詣した全国の参拝者数は昨年より422万人増の9795万人にのぼり、統計が残っている1974年以降最も多かったという。今年の三が日の初詣客が史上最多となった背景には、長い不景気時代を脱し、今回の(数字上の)好景気にあやかろうと神頼みをしに神社・仏閣に足を運んだ人も少なくないだろう。今、景気は戦後最長のいざなぎ景気を越えた。しかし庶民にまでその実感は届いていないようだ。
そんな中、今年も家計の負担増はさらに続きそうだ。昨年末に決定した07年度の政府予算案、税制改正等によると、定率減税は所得税が1月に、個人住民税が6月にそれぞれ打ち切られる。年収700万円の夫婦子ども2人世帯だと、05年比で年間約8万円余の増税となる計算だ。厚生年金保険料は9月から354円(月収20万円の会社員の場合)に、国民年金保険料は4月から240円アップする。さらに失業手当の給付期間の短縮に、生活保護母子加算の段階的廃止等々。夏の参院選後には消費税引き上げへの検討が始まる。まさに今年こそ“増税元年”に当たるとも言える。
ただ、救いの手もある。恩恵を受けるのが乳幼児のいる世帯だ。少子化対策の一環で、0~2歳児の第1子、第2子への児童手当の支給額が月5000円から1万円に引き上がるほか、育児休業中の社員に支給される育児休業給与が対休業前賃金の40%から50%にアップする。
今年の三が日の初詣客の願いがどう神仏に届くのか。好景気の恩恵に与りたいという庶民が投げたお賽銭料が、先行投資となるか、はたまた家計の負担増の上積みのひとつに終わるのか。現時点では、神仏のみぞ知るということだろう。
(2007年1月12日掲載)