薬事ニュース社
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>>>疾病が日本経済にもたらす損失額は年間3.3兆円!<<<
 在日米国商工会議所(ACCJ)がこのほど、全国の男女5000人を対象に行なった「疾病の予防、早期発見および経済的負担に関する意識調査」の結果を発表。疾病による欠勤や能率低下、退職など、疾病が日本経済にもたらす損失額が年間3.3兆円であるとし、予防医療、早期発見の推進による経済的負担の軽減を図るよう政策提言を行なった。政策提言は、肝炎、乳がん、慢性的疼痛、医療関連感染など、27の分野に及ぶ。予防と早期発見を主眼とする取り組みを行うことで、生産性が高まり、医療コストの過度な上昇を抑えることにつながるという主張だ。
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を巡る議論の中で、政府は混合診療の全面解禁について、「議論の対象となっていない」から「議論される可能性は排除されない」へと見解を変更した。米国はかねてから日本に医療サービスの自由化や混合診療の解禁を求めており、「公的医療保険制度が自由な医療市場の拡大を阻害しているとして問題視されるのではないか」との懸念も笑えない状況になってきた。
 予防や早期発見は重要な課題だが、そのような状況下でのACCJの提言だけに、発表会見では「TPPの匂いが感じ取れるかもしれない」と期待した。しかし、TPPとの関連を問うストレートな質問や、予防医療へ取り組むための財源を問う質問(民間保険という単語を引き出そうとする質問だと思われる)にACCJ側は、TPPのTの字も出さない徹底した「安全運転」の回答を返した。その気の配り方に提言実現への強い意欲を感じた。
(2011年12月2日掲載)