薬事ニュース社
オピニオン

>>>人類最大の敵は・・・<<<
 以前、ネット上で「人間を最も多く殺している生き物は何か?」が話題になっているのを見た。正解は凶暴なサメでも猛毒を持つヘビでもなく「蚊」だそうだ。マラリアなどの感染症の媒介として、途上国を中心に年間に約70万人を死に至らしめるという。
 なんとも恐ろしい話ではあるが、蚊が原因で病気になるなんて自分には関係のないこととどこか他人事のように考えていたところ、8月の終わりに思いもよらないニュースが舞い込んできた。ご存知の方も多いだろうが、約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認されたのだ。厚労省は原稿執筆時点で疑いも含めて60名以上の感染を報告し、感染場所は東京の代々木公園や新宿中央公園と推定。デング熱について有効な治療法や医薬品、予防ワクチンはないものの、予後は比較的良好な感染症であり、蚊も越冬できないことなどから、パニックを起こさないよう呼びかけている。ただ問題はこれまでにない、あるいは長く発症が確認されなかった病気が発生したことではないか。もしかするとアフリカで猛威を振るうエボラ出血熱も、決して対岸の火事ではないかもしれないと思えてくる。
 ちなみに、「人間を最も多く殺している生き物」の第2位は、やはりと言うべきか「人間」だそうだ。死者が出てもカウントされるはずもないだろうが、対応の遅れが多くの人の命を奪うかもしれないという危機感を持って、関係者にはぜひ感染症対策に取り組んでいただきたい。
(2014年9月12日掲載)