薬事ニュース社
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>>>手間はかかるが、がん検診により死亡率低減<<<
 日本人の死因第1位である「がん」に対して厚生労働省は、09年度の「がん対策推進予算」を前年度予算の約2倍となる473億円計上。がんは早期に発見できれば治癒の可能性もあることから、予算のうち「がん予防・早期発見の推進」事業には、前年度予算の約6倍となる277億円、このうち女性特有の子宮がんおよび乳がん検診推進事業には新たに216億円を計上し、「がん検診を勧奨して早期発見率50%以上を目指す」としている。
 検診の対象となるがん種は、胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんの5つで、07年度の検診受診者数は、胃がん426万2048人、肺がん750万6113人、大腸がん717万6312人、子宮がん353万8132人、乳がん189万2834人。うち、早期発見できた割合は、胃がんが男性32.5%・女性25.3%、肺がん同25.7%・21.1%、大腸がん同27.5%・22.7%、子宮がん21.3%、乳がん20.3%だった。
 検診の内容として胃がんは、前日から食事を抜く、肺がん検診は3日分の痰をためておく、大腸がんは3~4日前から便を採取するなど、ある程度の日数を必要とし、子宮がんおよび乳がん検診は特になにかしらの準備はないが、乳がん検診に用いるマンモグラフィ検査は痛みを伴うらしい。多少面倒で痛そうながん検診だが、男性特有の前立腺がんはPSA検査の普及により早期発見率が向上し、がんによる死因ランキング上位5位から圏外となった。この例からも、多少の手間はかかるが、がん検診は受けておいたほうがよさそうだ。
(2009年7月10日掲載)