薬事ニュース社
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>>>「オプジーボ」臨時引下げの反応<<<
 10月5日に開催された中医協で、抗がん剤「オプジーボ」の薬価に関する特例的な対応として、2018年4月の薬価改定を待たずに市場拡大再算定などで薬価を引き下げる、いわゆる「期中改定」を実施する方向で概ね合意した。前日に行われた財務省・財政制度等審議会・財政制度分科会では、オプジーボは1人あたり年間約3500万円かかるとし、高額薬剤の薬価の在り方に対応を求めていた。
 このオプジーボの特例引下げは、一般紙やネットニュースにも大きく取り上げられ、国民の関心を強く引いた。では、株式市場はどう反応したかというと、小野薬品の株価は急騰した。まず、財政審が行われた4日に5%高。これは4営業日ぶりの反発となった。5日は0.5%高となったが、6日は再び4.6%高となった(終値3091円)。
 株価続伸の理由はいくつかある。一つは、これまでの下落の要因になっていた「オプジーボ」の薬価問題が、ひと段落ついたこと。とくに最大25%程度の引き下げを検討するとなったことが「安心材料」となったようである。つまり、市場では「もっと引き下げられる」と予想していたわけだ。そして、もう一つの理由として、薬価引下げにより「オプジーボ」の処方が進むと見た向きもあったようである。いずれにせよ、今年4月に付けた上場来高値5880円には、まだほど遠い。
 こうした株式市場の反応は、当局の思惑とはむしろ逆の方向に動いているようにも見えるのだが、どうだろうか。
(2016年10月14日掲載)