薬事ニュース社
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>>>製造小売業としてのプレゼンス<<<
 カジュアルウェアブランドの「ユニクロ」を全国展開するファーストリテイリングは、フリースなどの低価格、高品質商品を武器に、流通小売業に一時代を成した。今でこそその凋落ぶりは目を覆うばかりだが、中間業者のマージンや販管費を排し、競合他社品より廉価な売価設定でありながら、利益に関してはその数倍をはじき出すというビジネスモデルで、流通のあり方を刷新した。
 “ユニクロ・モデル”と呼ばれるそのシステムを可能ならしめたのは、流通の一角を担う「小売業」から、ビジネスシステムすべての部門を自社オペレーション下に置く「製造小売業」への進化だが、その進化を薬系小売も遂げつつある。業界トップのマツモトキヨシがそれ。ただ、単なる廉価狙いの二番煎じではない。メーカーにはない消費者との濃厚な接点から、店頭発の“NBを超えるPB開発”を目指すのも目的だ。自社の蓄積したコストオペレーションに自信をみせ、メーカーとの提携ではなく買収の形をとり、直接的な改革を図る。背景には、「メーカーはもっとコストを下げられるはずだし、OTCはやり方次第で儲かるのだが」(松本南海雄社長)といった、OTC部門の整理を進めるメーカーへの慨嘆もある。しかし、であればこそ、そこに商機を見出す小売の薬業界におけるプレゼンスにも、自ずと変化が生じてくるだろう。

(2004年4月16日掲載)