薬事ニュース社
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>>>年末に向けた財務省の先制弾<<<
 「毎年の恒例行事みたいに、とりあえず薬価切り下げを打ち出すのは、いい加減やめにしてほしいんですけどね」と製薬企業関係者はぼやくが、そんな嘆き節にはお構いなく、年末の予算編成に向けて、早くも財務省が先制パンチを繰り出した。4月に開催された財政制度等審議会・財政制度分科会で財務省は、社会保障制度改革に関して、医療の効率化などを通じて今後5年間の社会保障関係費の伸びを、「高齢化による伸び」の範囲内である年0.5兆円程度に抑制するよう提言。そのうえで、医療効率化のメニューとして、「受診時定額負担・保険免責制の導入」「診療報酬・介護報酬の引き下げ」「調剤報酬の適正化」などと並んで、例によって例のごとく、薬剤費抑制策を列挙した。
 中身は「後発品の使用促進」や「長期収載医薬品の保険給付のあり方の見直し」「OTC類似薬の保険給付の見直し」など、毎度お馴染みの要求項目ばかりだが、なかで目を引くのは後発品使用促進策の「書きぶり」。17年度末までに数量シェア60%を目指すとした現行の政府目標を「17年度内に80%」に改めるよう求めたうえで、▽後発品への置き換え率に応じた長期収載品の特例的引き下げに関し、「置き換え率80%未満」の区分を新設▽DPC病院の機能評価係数Ⅱの「後発医薬品係数」について、入院医療で使われる薬剤に占める後発品の割合に応じた加算の上限の現行60%から80%への引き上げ▽調剤報酬上の後発医薬品調剤体制加算における現行の「55%以上」「65%以上」の基準について、数量シェア80%の政府目標変更に合わせた基準への引き上げ、などなど、例年になく微に入り細にわたった要求になっている。より現実に即した要求、という言い方も可能かも知れない。消費税10%への引き上げを先延ばしにされた財務省の本気度が、現実路線の要求に表れている、と言えなくもない。
(2015年5月22日掲載)