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>>>調剤報酬体系の再編<<<
 2022年度調剤報酬改定では、調剤報酬体系の再編が最大のトピックスといえる。従来の「調剤料」「薬剤服用歴管理指導料」の評価に関する業務内容を整理し、新たに「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」として組み換えた。厚生労働省が示した資料によれば調剤報酬体系上、従来の「調剤料」は「薬剤調製料」に、「調剤管理料」「服薬管理指導料」は「薬学管理料」に位置付けられることになる。日本薬剤師会では、調剤技術料全体の約2割に留まっていた「薬学管理料」が約4割に推移すると見込む。
 調剤技術料全体の約5割を占める「調剤料」を巡ってはこれまで、財務省などから「対物業務」の象徴と位置付けられ、日数倍数制の評価体系の廃止など様々な問題提起を受けてきた。16年度改定からは「調剤料」を引き下げ、そこで捻出した財源を「対人業務」の評価とされる「薬剤服用歴管理指導料」などに充てる方針が定着した。こうした方針も今回の調剤報酬体系の再編により、一定の決着が付けられた形となる。中央社会保険医療協議会に診療側委員として参画する日薬の有澤賢二常務理事は本紙に「今回の再編で一度終了し、新たなスタートを切ることになる」と話す。
 調剤報酬体系の再編はまた、薬局・薬剤師の調剤業務の「見える化」を推進することにも繋がる。このことは同時に、患者情報などの分析・評価や処方内容の薬学的分析、調剤設計、薬剤調製・取り揃え、最終監査、調剤した医薬品の薬剤情報提供、服薬指導、服薬状況の継続的な把握指導といった薬局での調剤業務の流れが、今まで以上に国民・患者の視線にさらされることを意味する。「国民・患者も関心をもち、調剤報酬明細書を見て質問するケースも出てくるのではないか」とみる声もある。
 現在でも薬局・薬剤師業務が「見えにくい」との指摘は少なからずある。現場の薬局・薬剤師には、リフィル処方箋の導入とともに今回の調剤報酬体系の再編を好機と捉え、これまで以上にしっかりと取り組んで社会にアピールしていくことを期待したい。
(2022年4月4日掲載)