薬事ニュース社
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>>>競争的な日本市場へ<<<
 日本製薬団体連合会の求めに応じて、日本製薬工業協会と医薬工業協議会は薬価制度改革案をまとめた。製薬協案は、製薬企業が届け出た価格を保険償還価格とし、特許期間中の新薬は価格を維持できる仕組みを導入する一方、長期収載品は最大50%の大幅引き下げを行うことができるとした。2015年の制度の完全実施を想定しており、製薬協の青木初夫会長は、「この(制度実施までの)5年で(各企業は)身のフリ方を考えて欲しい」と語っている。
 製薬産業は、政府の産業政策でスポットを浴びている。製薬業界関係者からは「安倍総理になってから・・・」との言葉をよく口にするが、重厚長大に始まった戦後の産業政策の流れの中で、知識集約型の医薬品産業の出番が巡ってきたということであり、この数年間「産業論」を掲げ、製薬業界がロビー活動を続けた成果でもある。
 他の産業では不景気の中需要喚起に必死に取り組んできた。医療市場は、診療報酬引き下げ、薬価改定を行わないと膨らみつづけるような潤沢な需要のある市場だ。アンメット・ニーズも顕在化している。この点が、産業として他の産業と決定的に異なる。あとは、どうニーズを獲得するかだ。製薬協案の導入が決定したわけではないが、この案は、今よりも競争的な市場に変わっていくことを製薬業界自ら望んだということだ。
(2007年6月29日掲載)