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>>>緊急ステートメントのタイミング<<<
 日本循環器学会は8月12日、「心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント」を公表。抗凝固薬「ダビガトラン」について、心房細動診療における位置付けや使用上の注意などの情報を公表した。同日夜には、厚生労働省から同薬についてブルーレター(安全性速報)が発出され、高齢者や腎機能に障害を持つ患者に対する投与について注意を促している。
 厚労省は、両者の同日の注意喚起について「タイミングを合わせた」とコメントしているが、実は日本循環器学会では、3月の段階で緊急ステートメントをつくることを話し合っていたという。それが遅れた原因は、東日本大震災だった。日本循環器学会では、3月18日に学会を開催し、緊急ステートメントを作成することを委員会で承認する予定としていた。しかし、震災で開催が延期され、承認は6月の臨時委員会まで待たなければならなかったそうだ。それ以降は、8月上旬の班会議で最終的な文案を取りまとめたとのことで、いつホームページへ掲載しようかというときに、厚労省から連絡があったという。震災はこんなところにも影響を及ぼしていたということか。
 「心房細動治療(薬物)ガイドライン」は現在、2008年度版が発行されている。ガイドラインを改訂して注意喚起するという選択肢もあったようだが、全面改訂の時期も迫っていたことから緊急ステートメントを発表することとしたそうだ。ちなみに、全面改訂は2013年に行なわれるとのこと。
(2011年9月23日掲載)