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>>>糖尿病ガイドラインも変更へ<<<
 糖尿病といえば、これまで網膜や腎臓、足の壊死といった細い血管への悪影響がクローズアップされてきたが、糖尿病も心血管イベントのリスクを高めるとして、より早い段階でのコントロールが重要視されるようになってきた。そのような中、最近では食後高血糖が重要視され始めた。食後高血糖とは、食後の高血糖値が正常時より長く続く状態のことで、食事から2時間後の血糖値を測定。その血糖値が200mg/dl越えると食後高血糖と診断される。食後高血糖は、心筋梗塞になりやすい因子とされているほか、糖尿病にもつながる。
 2007年9月には、国際糖尿病連合が「食後血糖値の管理に関するガイドライン」を発表。「食後2時間血糖値は140㎎/dlを超えない」とした。ただ、日本人は、欧米人と比べ食後の血糖値の上昇・下降のカーブが急であることから、このガイドラインをそのまま日本に導入するのは、難しいようだ。日本人でのデータも少なく、エビデンスの集積が待たれるところだ。
 今後、日本でも糖尿病ガイドラインの改訂作業が始まるが、食後高血糖をどう位置づけるかが注目される。日本糖尿病学会関係者は、「空腹時血糖値100mg/dl前後を目標にすれば、その時の食後2時間値は140㎎/dl未満にほぼ収まる。食事の内容に左右される食後の値よりも安定した数値目標となる」と解説する。どうやら、特定健診での基準となっている「空腹時血糖値が100mg/dl以上またはHbA1cが5.2%以上または薬物治療中」と同様のガイドラインになりそうだ。
 厚生労働省によると、糖尿病(予備軍を含め)患者の数は1620万人に上る。ガイドライン改訂で、患者(予備軍)がさらに増える可能性もある。
(2009年4月24日掲載)