薬事ニュース社
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>>>診療報酬・調剤報酬――霞みたなびく春迎え<<<
 長い間のマイナス改定に呻吟(しんぎん)してきた診療報酬・調剤報酬。08年度改定では、本体部分は多少なりともプラスとなり、当事者からは、日照りに慈雨の心境で、ひとまず安堵の評価が見受けられる。調剤報酬改定に関していえば今回、医療費適正化や医療機関の機能分化を目的とする医療制度改革の流れの中で、医療法、薬事法、薬剤師法の各改正によって与えられた環境を踏まえ、職能発揮を促す体制整備がちりばめられている。目玉の後発医薬品(GE)への対応をはじめ、処方せんに縛られない『外来服薬支援料』や『退院時共同指導料』など、医療制度改革が描く意図の実践を求める項目が新設されたことなどもそれに合致し、特徴といえる。薬剤師がこれまで保険薬局の中から見てきた景色を変える可能性も大きい。
 もちろんこれらに対する現場の評価には否定的な意見も少なくない。「GEへの取り組みなどは、在庫の増加や回転の低下、薬価差益実額の縮小などを考えると将来的に街の個店の体力を確実に奪う」「要件やインセンティブ面で実行性に疑問がある。しばらく様子を見なければわからない」など。しかし、こうした点数を生かせなければ、将来的な薬剤師職能に対するバッシングやパッシングは、制度的にも社会的にも免れない。それが、医療制度改革を受けた改定の流れだろう。
 季節は春。冬を脱して陽春に草花は芽吹き始めるが、春霞みで視界がぼやけるのも、古来この時節の習い。調剤報酬も、各論では視界が未だ明らかではないものの、総論では季節同様、春を迎えたとみるべきか。しかし、やがて確実に訪れる冬に、今回の改定項目を使ってどう備えるか。それはひとえに現場次第。
(2008年3月28日掲載)