薬事ニュース社
オピニオン

>>>週刊誌の“キケンな薬”報道に思うこと<<<
 一部の週刊誌が医薬品や手術に警鐘を鳴らす記事を掲載し続けている。目を通してみると「飲んではいけない薬」などと題し、医師へのヒアリングを基にリスクが高い医薬品や手術を一覧で紹介しているが、内容云々よりも何週間も同じような特集が組めることに感心してしまう。芸能人の不倫や政治と金の問題など、スキャンダラスなネタでスクープ合戦が過熱するなか、中高年が避けて通れない健康をターゲットにするのは、紙面の差別化を図る上でうまい戦略かもしれない。
 これらの報道に対し、医療界の反応は様々なようだ。日本医師会はいち早く会見で懸念を示し、患者は情報を鵜呑みにせずかかりつけ医に相談するよう求めている。日本薬剤師会は「興味本位で面白おかしく煽りたいというような側面から書かれている。真正面から反対する必要なはい」とのスタンス。学術的な面からの問題提起がない限りは静観する構えだ。
 この一連の報道が、実際に医療現場にどれほどの影響を及ぼしたのかは定かでないし、治療の内容を変更した患者が本当にいるのかも分からないが、ある程度の反響があったことは間違いないのだろう。また紙媒体だけでなく、インターネットの普及により様々な情報が簡単に手に入るようになったからこそ、情報を受け取る側は慎重に見極める冷静さと、信頼できる発信元を選ぶ必要があるのかもしれない。ただ情報を鵜呑みにして正解だったケースもある。メディアやインターネットで絶賛の声が溢れる中、疑心暗鬼で観た「シン・ゴジラ」は最高に面白かった。
(2016年9月2日掲載)