薬事ニュース社
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>>>厳しさを増す調剤報酬議論<<<
 「中央社会保険医療協議会の議論は診療側と支払側に分かれて議論するが、診療側の日本医師会の委員は横(日本薬剤師会の委員)を見て発言している」――。10月末まで中医協委員を務めていた健康保険組合連合会の白川修二副会長は、先に開催された「日本女性薬局経営者の会」の設立シンポジウムで、中医協における昨今の議論についてこのように語る。 「日医対日薬の様相を呈してきた」(社会保障審議会委員)とまで囁かれた調剤報酬を巡る議論で、白川副会長はどちらかと言えば、「医薬分業を進めるべき」との立場で薬局・薬剤師を擁護してきた。
 しかし、中医協委員の退任直後のシンポジウムでは、「はっきり言って今の薬局には何も期待していない」「処方せんを見て棚から薬を取って袋詰めを行い、お薬手帳に記載して終わりというのが普通の薬局」などと辛辣な発言を連発。最後は「薬剤師は薬剤に関する最高の権威という誇りを持ち、医師に従属せずに対等の立場で意見を言い、そして患者に接するスタンスが重要だ」と提言して講演を締めくくった。
 16年度診療報酬改定を巡り、マイナス改定の雰囲気が濃厚に漂うなか、「医科本体の財源確保を狙う日医にとって、政府から適正化を突き付けられている調剤と、政治献金問題を起こした歯科は狙い時」と観測する関係者は多い。調剤報酬に関しては日医だけでなく、複数の病院団体も険しい視線を投げかけている。財務省も調剤報酬に限り、具体的な制度設計図まで描いた改革案を提示してきた。薬局・薬剤師を擁護する数少ない中医協委員もいなくなり、次期調剤報酬改定はこれまで以上に厳しく切りこまれることになりそうだ。
(2015年11月20日掲載)