薬事ニュース社
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>>>ネット販売"推進派"に吹く追い風<<<
 OTC薬のインターネット販売に関する厚生労働省の検討会も終盤に差し掛かってきた。議論自体はネット販売の"推進派"と"反対派"の委員間で平行線を辿ったままだが、4月26日の会合で遠藤久夫座長は厚労省にたたき台案の作成を要請。一部の委員から反対の意見もあったが、最終的には合意に取り付けた。
 「検討会ではもはや対応できない。これは政治マターだ」――。ネット販売の問題を巡り、関係者からはこのような意見が多く聞こえてくる。"政高党低"といわれる安倍政権下では、政治の局面においてもネット販売の"推進派"に追い風が吹く。
政府は現在、ITサービスの規制改革に向けて着々と準備を進めている。「安倍晋三首相と蜜月関係にある」(関係者)とされる楽天の三木谷浩史社長は、自身が民間議員として参加する政府の産業競争力会議で、IT利活用の裾野拡大に向けて「首相のリーダーシップで規制撤廃を確実に達成して頂きたい」と強調する。
 OTC薬の通信販売を規制する省令を「違法」と裁定した最高裁判所の判決がある以上、日本薬剤師会などの"反対派"も、「ネット販売は第3類医薬品まで」という主張はできない。第2類までの通信販売を認めるとした"落とし所"も、"推進派"は「到底受け入れられない」と一蹴している。"反対派"の関係者の間ではすでに、「このままいけば、第1類薬のネット販売も容認せざるを得ない状況に追い込まれる」との危機感を募らせている。
(2013年5月10日掲載)