薬事ニュース社
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>>>最後の新興市場アフリカは魅力的か?<<<
 目端の利いた先進国や企業が自国での市場拡大に限界を察し、「更なる新興市場への進出」を目指すのは大航海時代でも21世紀でも変わらずということか、ひと頃話題に上っていたBRICs諸国を飛び越えて、ここ数年はアフリカ市場へ注目が集まっている。今年は初めてアフリカ大陸でW杯が開催された年でもあるが、現在までアフリカは「援助」の対象であって、消費対象としての潜在力については過小評価され続けて来た。市場規模は約9億人、若年世代が多く、人口増加率・経済成長率ともに最も急激に成長している、まさに手つかずの希望に満ちた市場にも見える。
 しかしそこは、藁と牛糞で出来た家に住む人々が日常的にボーダフォンを使用しているかと思えば、町にはインターネットカフェもあれば魔除用の動物を売る市場もあり、マラリア予防のために支給された蚊帳が漁の網として使われてしまっているような混沌とした土地だ。インフラが整っていないので、要冷蔵の製品を売るためにメーカーが冷蔵庫までおまけに提供しなくてはならない一方、電気が通じない村の家の屋根にはすでにソーラーパネルが取り付けられていたりする。先進国が辿って来たものとは異なるフェーズの発展の仕方を遂げているのだ。
 先進国や企業は、これからこのカオスの地と接していく際に様々な場面で戸惑うような状況に遭遇するだろうが、タフな起業精神がある者にとってはビジネスの相手として魅力的な対象になるだろう。09年末に訪れたセネガルでは、流入してくる膨大な中国人パワーや韓国の電化製品・自動車の市場席巻ぶりに目を見張らされた。日本は対アフリカ進出に関し、出遅れている感は否めない。無関心でいられなくなる時期も近いのではないだろうか。
(2010年6月25日掲載)