薬事ニュース社
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>>>消費税増税、20年度改定、財務省<<<
 過日、スーツを新調した。9月上旬のことで、消費税増税前の駆け込み、のつもりだった。ところが、思惑はもろくも崩れた。申し訳なさそうに、店員がこう告げたのだ。「国からのお達しで、商品の引き渡しが10月以降になる場合は、税率10%が適用されます」。迂闊だった。さすがは財務省、ツルの一声で税金の使途を変更されようとも、軽減税率適用の是非で押し切られようとも、最後の最後にはちゃっかりとこちらの懐に手を突っ込んでくる。このしたたかさには舌を巻く。
 10月1日からの消費税増税をめぐっては、一部小売店で軽減税率の適用やポイント還元等に関連して若干の混乱もあったらしいが、さほど大きな騒ぎにはなっていない模様。大きな騒ぎどころか、事前の予測通り、小売店はどこも閑散としているようで、果たして政権の思惑通りに、消費の落ち込みを緩和する対策が奏功するかどうか。
 一方、医療業界は、告示を8月に前倒しした効果もあったのか、スムースな改定となったよう。医療機関では初診料、再診料等の引き上げが実施されたが、次の20年度改定もすぐ目前に迫っている。年末にかけて、中医協を舞台に論戦が繰り広げられるのを控え、すでに健保連が、花粉症治療薬を保険適用から除外すべきなどと提言、舌戦の口火を切っている。
 他方、4月に保険給付範囲のあり方の見直しや薬剤の自己負担引き上げ等を提案した財務省は、消費税増税が予定通り実行されたことに安堵したのか、10月初旬の段階では鳴りを潜めている。しかしそこはしたたかな財務省のこと、もっとも効果的なタイミングで再度、改革案をぶち上げようと虎視眈々、狙っているに違いない。20年度改定に向け、いよいよ、議論が本格化する。
(2019年10月11日掲載)